もじおこ

備忘録 文字起こしときどきニュアンス 耳が悪くてごめんなさい

2021/5/2シゲ部(贈呈式スーツ・スピーチ裏話)

5月最初の放送です。先週話せなかったことです(笑)。このラジオでさ、パーカーで行った理由とか話してさ、次スーツで行くぞとか言ってさ、吉川英治文学新人賞の話ですよ。で、スーツ着てったらそれはそれで”スーツ着てきましたねちゃんと”みたいなメッセージがすごい来てて。まぁそこについての経緯もね、まずは話してみようかな。

★部員メール(贈呈式のスーツ、GINZAのときのスーツですよね)

先週もかなり話したと思うんだけど、服の話はしなかったよね。ま、スーツで行こうよっていう話はあったんすけど、自分のスーツで行ってももちろんいいんだけど、こんなときしかあそべないよね、みたいな。遊んでいいのかっていったらあれだけど(笑)、ちょっとこう、かっこつけたっていいじゃん、みたいな気持ちもありつつ、最初はね、賞金が出るわけですよ(笑)。あんまり話したくないんだけど、賞金の話とかね。賞金が出たんですよ。で、賞金の使い道とか聞かれたりするから、賞金でめちゃくちゃ高いスーツ買おうかなと思ったんですけど。かかるからね、その賞金くらいの、本当にいいものを選んだ時に。ただやっぱシンプルに、考えたんだけど、そのタイミングから受賞してからじゃ間に合わなかったね、贈呈式にスーツをたぶん仕立てるのが。在り物買ってもいいんだけど、在り物で買って高いもの買うくらいだったらいいブランドで仕立てたほうがいいだろうとね。やっぱ作家ならいいスーツ、本当にいいスーツを一着くらい持っておくべきだろう、みたいな。まぁいくつか持ってるんですけどね。でもいわゆる海外製の超有名老舗のスーツみたいなものは持ってないから、って思ったんだけど、やっぱ間に合わなかったんですよ。じゃあ無理だね、って話もあったし、まぁシンプルに僕の時間もなかったんで、じゃあちょっと一から振りだしで、いいスーツないかなぁと。

でもそれこそもう『モダンボーイズ』も稽古入って本番みたいなときだし、間でライブやってたから、本当にそのフィッティングというかサイズ合わせたりする時間もないし。実物を見る時間もなくて、というところでスタイリストと話してたら、”そういえばGINZAで着たマックイーンのスーツ貸してくれるらしいんだよね”と。あれ、着てくれるなら貸すよって言ってくれてるんだと。それはGINZAで着てくれたってこともあるらしく。って言ってるけどどーする?と。例えばさ、同じ服じゃないほうがいいかなって思ったりするかっていう確認だと思うんですよ、僕に。だけど、一回着たものじゃないほうがいいかなとかね、そういう確認だと思うんだけど、いや、あれめちゃくちゃよかったよね~って話になって。それこそインタビューで”この服にふさわしい場所で着てみたい”と言っていたし。これ結構いいじゃん、デザイン性もあるけどサイズがまず。サイズじゃない?スーツって。サイズがぴったりだし、これいいねって話になって。そのときは忘れてたんだけど、実物を着たときに、二度目ましてですよ?着た時に”あ、ピンクとグレーじゃん”。グレーのチェックにピンクのラインがあって。ピンクとグレーの色味なんてさ、死ぬほど溢れてるけど、ピンクとグレーだしなんかいいね、と。そういう経緯であのスーツにしたんですよ。

スピーチもさ、どうしよっかな、みたいな。スピーチの内容考えていかないっていうか、受賞会見で喋りたいこと喋ってたから。ひとつき経って何話そうかなぁってちょっと行くまでずっと思ってたんですけど。まぁ”ピンクとグレー”も着てるし、まぁやっぱりこの10年を振り返ってもいいかなぁっていうことで、そうそう、「束見本」の話をさせてもらったんですけど。それ、このあとねシゲの部活のほうでスピーチの話などなどもしましょうかね、時間があれば。そういう経緯であのスーツを着たわけでございます。

 

★リクエスト曲「生きろ」

 

★音楽部 Easy Lifeskeletons

Easy LifeはU.Kバンドでございます。これね、僕てっきり日本人だと思って、プレイリストでランダムで聴いてたときに日本人かなと思ってたらU.Kバンドでしたね。5人組のバンドでございます。2020年の英国放送協会BBCが毎年1月に注目の新人を選ぶBBC SOUND OFというのがあるらしく。そのリストの第二位だったらしいですね。の、新人バンドということで、昨年からすごく注目されている、だったんでね。僕はちょっと知らなかったんで、と思って聴いてみたら他も超かっこよかったんだけどね。はい。

すごいかっこよかったんですけど、今のトレンド、日本のトレンドともシンクロしているちょっとおしゃれなサウンド感に、ジャジーサウンド感に、HIP-HOPぽいサウンド感、ボーカルのリズム感でノっていくっていうところですごいかっこいいっすね。エレクトロでもあるけどバンドなんだよね。だからそのフュージョン感がまたぐっとくる、とても気持ちいいサウンドでございます。

僕がいいと思ったのは今日「skeletons」という楽曲なんですけど、他の曲も聴いたんですけどすごいよかったですね。元々なんかね、レゲエをやったグループ、レゲエグループとして活躍していたメンバーなんかもいたりするんで、そういったこう後ろっぽいノリ?レイバックした感じがまたサウンド感に気持ちよく乗ってくっていうバンドなんですよね。すごいよかったっすね。ぜひ今後も注目していきたいなと思いますし、他の曲もどんどん聴いていきたいなと思っている次第でございます。というわけで聴いてください。

 

吉川英治文学新人賞贈呈式でのスピーチについて)

で、スピーチの話ですよ。どうしようかなぁと思って。最近あんまり昔より緊張しなくなってきたんだけど、するときはするんだけどね。スピーチでももっと緊張するかなと思ったんですが、スピーチ慣れしてきたのかもね。まぁでもさすがにその場で考えるってわけにもいかないから何となく考え始めたのが『モダンボーイズ』の公演終わって車の中とか、準備してる間とか、僕ありがたいことに一番目じゃなかったんで後半だったんで最後のほうだったんで、みんながどれくらいの長さで喋るかなとか、どんなこと言うのかななんてのも後から考えられた、調整できたんですけど。

なんとなく話したい話が2つあった、それは『モダンボーイズ』終えてきて、あの場でも言いましたけど、毎日のように僕たち同じ物語を演じて、毎日のようにたくさんのお客さんが来てくれると。なんでみんなが物語を求めるのかっていう話はしたいなって思ってたんだよね。それはだからスピーチの内容については気になる方はぜひ調べてほしいと思うんですけど。

っていうのとその話はしようと思ってたんだけど、そうそう、ピンクとグレーのスーツを着た時に、束見本の話もいいなと思ったんですよ。というのも数日前に『モダンボーイズ』に『ピンクとグレー』からずっとやってきた編集の方たちが観に来てくれて。いま楽屋挨拶とかできないんですよね。実はね。なんだけどマネージャーづてに届けたいものがあるということで差し入れも普段もらえないんですけど、マネージャーづてに僕に渡したいものがあるってことで頂いたものがあって。それが吉川英治文学新人賞おめでとうございますっていうことのこれまで関わってくれた角川のスタッフの全員のメッセージで。ありがたいよね、本当にね。それもそれだけすごい完成度の高いもので感動したんですけど、且つそれと同時に当時『ピンクとグレー』の装丁を手掛けた鈴木久美さんから直筆のお手紙を頂いて束見本っていうものを頂いたんですよ。

束見本っていうのは、いわゆるその本をつくるときのサイズであったりとかを調べるときの、中身は真っ白の紙なんですよ。ただその紙の素材とかページ数とか、あとはその外側ってハードカバーだとゴツい厚紙だったりするじゃないですか。それが丸かったり角背だったりするでしょ?いろんなものがあるんですよ。装丁にもいろんなパターン・組み合わせがあってその組み合わせを見るための者なんですね、束見本っていうのは。必ず作るんだと思うんですよ。で、まぁ2個くらい作ったりするそうですね。1個か2個作ってみるらしく、僕はこのタイミングで『ピンクとグレー』の束見本って書いてある、鉛筆なんかで書いてあるんですよ、ただの真っ白い本なんですけど、を鈴木久美さんが”自分としても思い入れがあったのでずっと取ってたんですけど、このタイミングで加藤さんの手元にあるべきでないかと思い、プレゼントしたいと思います”っていうことで。特に装丁を作る人はそれに巻くイメージをしてデザインをする手掛けるわけですよね。だから装丁の方だったら割と編集の方が持ってることが多いんですけど、僕は今回頂いたってことをふと思い出したんですね。スーツを着た時にその話もいいなと思って。

ここまで関わってくれた、小説はやっぱりひとりで作るもんなんですよ。どこまでいっても一人で作るものなんだけど、サポートしてくれてる方はたくさんいるんですよ。それは編集者もそうですよね。編集者数名もそうだし、装丁もそうだし、直接顔を合わさないけどいろんな方が営業で書店に卸してくれたりとか、印刷所に行ってくれたりとか、本当にたくさんの人がいるっていうのが角川のメッセージを見て思い出したんですよね。わかってたつもりだけど、改めて思い出したっていう。ていうのも角川のときはかなり書店まわりも積極的にやっていた、今がやらないわけじゃないんですけど、時節柄どうしてもしずらくなってしまったので。当時はすごいやっぱり書店まわりをしたことでどういう風に本が書店に並んでるのかってことも教えて頂きましたし。そういうことを今一度改めて思い出したので、あのスピーチではその方々、これまで関わってくれたすべての方々にお礼をまず言うべきだよなぁなんて思ったりもして。そういうことをすごい考えましたね。

でもスピーチもっと言いたいことあったんだけど、あれ、何言おうと思ったんだっけってね。それをやべ!言い忘れた!ってこともちょっとあったんでそれを今言うと、『モダンボーイズ』をやっててね、いろんな物語があって本当にまぁ書店とか行くと絶望するわけですよ。こんなにいい本がいっぱいあって、まず。世界には本がこんなに溢れてて、いい本もきっとたくさんあって。なんで自分が書かなきゃいけないんだ、と。書く意味あんのか?っていう自問自答を本当に小説に取り掛かるたびに突きつけられるんだけど。それでも書きたいから書くんですが。そんな中でやっぱり、いろんな物語がひとを癒したり救ったりするし、よろこびってものがあるわけですよね。物語には人を震わせる力がある、っていう話はスピーチでも言ったんですけど。特にじゃあ、映画やドラマ・舞台とはちがって小説はどうなのかというと、やっぱり白と黒の記号だけですよね、文字っていうのは。その記号の先にいろんな風景や景色や光景を思い浮かべるわけですよ、それぞれが。読者が。その想像っていうのは絶対一緒じゃないはずなんですよね。同じ景色は想像できないんですよ。その中で物語は自分のものになっていくんですよね、小説や読書体験っていうのは。

やっぱり映画や舞台っていうのは飛び込むような感覚があると思うんだけど、バランスはあるよ、もちろん。享受する感覚もあるんだけど、読書っていうのはやっぱり能動的にすごく入っていく感覚っていうのがより深いっていうか。没入してそこにいる、自分のものにやっぱりなっていく、物語がっていうか。からだと染みわたっていくっていう感じがことさら深いんではないかということで。それが人をつくっていくし、それがコミュニティをつくっていくし社会をつくっていくだろうと。やっぱり本の力というものは世界をつくっているんではないか、っていうことを話そうとしたら、言ったらかっこよかったんだよな~(笑)。言い忘れたんだけどね。それはねっていうこと、それは物語、自分はそこをつくる側として選択したということは、まぁその責任、その物語をつくる責任、与える影響力ってものを今一度自覚して今後も作家生活を続けていきたいなという旨を伝えたかったんだけど、なんかこうなかなかうまくね、途中であれ、なに言おうと思ったんだっけな?っていう瞬間が一回あって。まぁでもそれでもね、まとまってたと思うんだけどここでちょっと言いたかったことを最後言えてよかったよ(笑)。はい(笑)。

まぁあの、本当にありがたい経験をさせてもらったんで、今後もほんと頑張んなきゃなと思いましたね。あと作家の人たちと話してるのおもしろいなとも思ったしね。いやぁでも、自分が何かの賞を頂くっていうことが、トロフィー、商品というかトロフィーをもらうんですよ。その副賞でお金とトロフィーをもらったんだけど、トロフィーをもらったことが、こういうまじなやつね?番組でトロフィーとかはあるけど、まじなやつをもらったの初めてかもなぁと思って。ぐっときましたね。どこに飾ろう?なんて思って。まぁ全然『モダンボーイズ』で部屋なんかぐちゃぐちゃなんでね、終わったら整理しつつ飾ったほうがいいよなぁと。それはなんか自慢したいってことじゃなくて、自分に喝を入れる意味でね。神棚じゃないけどね、そういう感じで置いておいたほうがいいんだなってちょっと思ってますね。やっぱなんかこう、花束もいただいてね、本当にこんなに2か月花束をたくさんもらう機会、直木賞からだから4か月くらいだね、こんな経験はないくらいでしたね。でも他にも文学賞たくさんあるからね!文学賞めざして書くわけじゃないけど、文学賞になりえてもおかしくないくらい、いいものを今後も書いていきたいなと思う次第でございます。というとですね、この話の流れでいくとあれか、ミアキスの感想なんかも来てますわ。

 

★部員メール(ミアキス感想)

いいすね~面白いな、これなんか。正直ミアキスは本当に『オルタネート』以上に先を決めずに書き始めたから。僕の中ではもう決まってるんですよ。こういう話になるってのは決まってるんだけど。いよいよもうクライマックス目前って感じなんで。そうね、今まだ書いてはいないんですよ。書いてはいないんですけど、いよいよこう完結のほうに向かっていく、まりなという人物がね、おもしろいですよね。こういう話にすると思ってなかったから本当に1個目を書いたときは。これ単行本にするときは結構手直ししないといけないなと思うんですけど、その分。ただ、すごいいい作品になりそうだなと思っております。楽しみにしててほしいなと思います。