もじおこ

備忘録 文字起こしときどきニュアンス 耳が悪くてごめんなさい

2021/4/25シゲ部(吉川英治~授賞式・『愛されなくても別に』)

4月最後の放送です、というわけでまぁ今日はたくさんいろんな話題についてね、メールが来てるんですけど。『モダンボーイズ』も期間中なんで話せることはまだネタバレになるかなと思い、吉川英治文学新人賞についての話が結構来ていたのでそのあたりを話そうかなと思っております。

 

★部員メール(武田綾乃さんと同じ高校です)

そうなんですね、京都なんだ、じゃあ。この方京都からのメールなんですが。

そう、まぁいろんな話後からすると思うんですが、吉川英治文学新人賞ね、『モダンボーイズ』がマチネ、昼公演が終わってすぐ駆けつけまして。受賞会見と同じホテルで。ギリギリかなと思ったけど意外と僕すぐ出れたっていう。着替えるの早いからね。それでさっとシャワー浴びてすぐ向かって。車の中でカレー食べて(笑)。それでホテルに行ったんすけど。準備して、着替えたりなんなりして、その”溜まり”って言わないのかな?式場の横に式場と同じくらいの広さっていうかそれこそ結婚式でもしそうな円卓が並んでるところにもういろんな先生方が並んでるからさ。いやぁいろんな先生方を実際、お会いしたことある方はわかるけど、顔とかさ、知らなかったら失礼だよなって改めていろんな作家の顔を調べてからいく、みたいな(笑)。それでも知ってる方のほうが多かったんですけどね、ほとんど知ってる。一応失礼があっちゃいけないなと思って、いろいろと事前準備みたいなものもありつつ。だから初めてあぁいう文学賞の授賞式というか式典みたいなものに行ったんで、いろんな方に挨拶して。

受賞会見のときにも会った方もたくさんいるんですけど、大沢さんとかは会えてたんですけど、恩田さんとかは会えてなかったんで改めてとかね。宮部みゆきさんとか、直木賞でも温かいコメント下さった、選評くださったのでお礼言ったりとかなどなどあったんですけど、本当にたくさんの方いらっしゃったんですけど。それで同じように受賞文学賞、いわゆる本賞とか文庫賞とか文化賞とかいろんな受賞した作家さんもたくさんいて。村山先生とかね、本当すごい出で立ちというか、美しい出で立ちというかね。そんな方にいろんな挨拶したりとか、2年分まとめてやったんですよ、実は。なんで『スワン』の呉さんとかも。今村さんは去年新人賞で今年文庫賞かなっていう形だったんで、2つ花のリボン胸に付けてましたけど。そんな呉さんとか、去年『スワン』読んでたんで。なんか”読みました”みたいな。で、呉さんのほうからも”僕のまわりでも『オルタネート』すごく評判です”みたいなことを言って頂き。嬉しいなぁと思っておりつつ。

同時受賞だった武田さんにも挨拶行ったんですよ。そしたら武田さんから、僕読んでたんですけど『愛されなくても別に』。その話をしたかったんですけど、武田さんのほうから”加藤さんのファンの方からメッセージを頂いたんです”みたいなことを言われて。というのも、この吉川英治文学新人賞の候補作を全部読んだファンの方が、加藤さんのは置いておいて、と(笑)、一番好きだったのが『愛されなくても別に』だったというお手紙を頂いて、”加藤さんのファンの方はとてもやさしいなと思いました”みたいなことを言われて。いやいやいや…とそんな僕が何でもなく、そのファンの方がちゃんとね、真摯にこの文学賞と向き合ってくれただけだと思うんですけど、みたいなことを言いつつ、僕の功績でもなんでもないんですけど、まぁでもそう言って頂けるのはね、すごい嬉しくて。そうそうそう、そんな話もありつつ。そんな話をしてたら式が始まってしまったので『愛されなくても別に』の話を直接言えなかったんですけど、まぁそう言っていただけたこともあり『愛されなくても別に』の話も少ししたいなと。このあとに少ししましょうかね。

あと今村さんね(笑)。このラジオで”俺の親父が(今村さんの作品が)好きだ”って話をしたら、多分その話がいったんだろうね、今村さんに。すごい今村さんもおしゃべりが達者な方で。”シゲパパが僕の作品を褒めてくれてた!めっちゃきいたわ!”って関西弁で(笑)、もうシゲパパって言ってましたね(笑)。なんかうちの親父と、なんでもないうちの親父をそんなにまず認知してくれたことが嬉しいし、下手したらうちの親父と気が合いそうな方だなと思って。逆に会わせちゃいけないななんて思ったりしましたけどね(笑)、親父にね。

すごい1回目のときは特に新人賞は誰が選ばれるかわからないってところもあって急に集まったのでね、そのときの4人の写真を見てた人が、受賞会見で僕がパーカーだったやつのときのね、”クドカンのドラマみたいだ”って言ってた人がいて。あまりにみんながバラバラで、でもひとつの画になってる、クドカンドラマのポスターみたいだねって話をしてたんですけど。今回は僕もスーツ着てったんで。また4人で写真撮ったりしたんですけど。今回は”華麗なる一族”だという話もありましたね(笑)。それくらい2回目なんんで砕いてた感じの空気ではあったんですけど。すごく楽しい時間でしたね、あっという間でしたけど。はい。ちょっとまだまだつづきこの後話していきたいと思いますが、今週もよろしくお願いします。

 

★リクエスト曲「SPIRIT」

 

★音楽部 ハナレグミ「笑う月〜ムーンライト」 (部員メール)

いやあのまだすごく聴き込めてはいないんですけど、もちろんすごい、出た瞬間に流してました。それこそ『モダンボーイズ』のちょっと準備してる間にかけさせてもらったりとかして。今回も本当にハナレグミ節全開。8つ目のアルバムで驚きが詰まっているというよりはすごくハナレグミらしい、ハナレグミ然とした楽曲の数々ということですね。

ハナレグミがつくったハナレグミの曲がいいかな、今回選ぶならという判断で「笑う月」にしようかなと思います。「笑う月」は8曲目。すごいおしゃれなリズム感っていうか、これはちょっとまた並びで聴くとすごくいいなと。ファーストインプレッションですね、これは。ぐっときた楽曲かけたいと思います。すごいいいアルバムなので、ちょっとこうね、いろいろとまだごたごたしてる世の中ではございますが、いいんじゃないかな。音楽に耳を傾けるときに心が鎮まるようなとてもいいアルバムでございます。

 

(『愛されなくても別に』の話)

武田綾乃さんの『愛されなくても別に』、いやぁすごいね、よかったです。というのも、自分で自分のことを選評するようなことを言うのは照れくさいんですけど、まぁああの『オルタネート』と対になってよかったというか。『オルタネート』を書いたときにある種高校生のものを、群像劇を書く中で、SNSの闇とかっていうもの、多少あるんですけど、ていうものよりは光の部分に対してメインに、重きを置いたというか。まぁよく、光が広くなれば影も濃くなるとか言うけど、今回は影の濃さは薄く、光は強く、みたいなバランス感を意識したんですよ。それは読んだあとに読後感のいいものにしたいとか、青春小説らしい然としたすがすがしさを大事にしたいなと思ったからなんですけど。まぁやっぱり意見の中ではそこを描いたほうがよかったんじゃないかという意見もたくさん頂きましたし。言われてみればわかるなと思ったんですけど、でもそれ俺がやんなくてもいいなと思ったんですよ。書いたときに。ポジティブな側面だけを切り取ったっていいじゃないかと。それで物語が成立するならいいじゃないかというのがあって。そこにも今回ね、吉川英治文学新人賞の選評、これもどっかで出るのかな?僕らは冊子をもらったのでそれで読んだんですけど。京極さんがまさにそこのあたりのことも触れて下さってたんですけど。そう、って思ったんですけど、やっぱりどこかで、そこを描かないことの嘘くささというか、ファンタジーぽさみたいなものはあるはあるだろうなと思ってた。でもそこまでやってしまうと、本当にすごい長い文章になってしまうのと、今回そこじゃなかったんですよ、目指した先がね。

ただ、誰かやってくれるだろうと思ったんだけど今回まさにその武田さんがやってくれたというか(笑)。もちろん、僕のためにやったわけじゃないし、偶然なんですよ。偶然なんですけど、逆に言えば僕がやってたら同時受賞でどっちかが競り合うことになってたのかなと思うと、全く違う作品で、自分で言うのも変ですけど甲乙つけがたい、どっちか一作じゃなくて二冊にしたということなのではなかろうかと。想像するに。

そういうときに二つの対称的、『愛されなくても別に』は大学生の話ですよね。端的に言うと、毒親の話とかね。毒親ってフレーズで片付けると最近そういう物語も多いから、まぁそこにちょっとからめとられてしまうからあんまり毒親の大学生の親の話です、って言うのはあんまりよくないんだけど。もちろんそこが一つの筋にはなってるのは間違いなくて。そこからでもどう生きてくかって話なんですよ。”愛されなくても別に”なんですよ、ずっと。ずっと”愛されなくても別に”なんですけど、そう思ってる主人公がどういう風に愛から逃げて自分の愛を見つけるか、みたいな話なんですよね。そこにはあまりにも理不尽な障壁というかものがあるし、高校生とやっぱり大人の庇護の元というか、保護の元生きてしまう分、大人に対して無力なところがあるわけですよね。それは『オルタネート』も近しい部分があると思う。基本的には良好な関係、『オルタネート』は。そんなにでも”こいつひどいな”みたいな、そんなにいない(笑)。しょうがないよな~みたいなくらいだと思うんだけど、『愛されなくても別に』に出てくる親は本当にどうしようもない、あぁ…って感じもあるんだよね。それでも愛してるわけだよね、彼女の親なりには。その親の愛ってものが絶対かというとそうじゃないよねっていうところには、ここまではネタバレじゃないと思うんですが、あって。

そんなことがあっていろんな人との出会いであったりとか。大人たちは自由じゃない?自分たちで生きていけるから、ある程度基本的にね。お金もあるし、時間もあるし、自分で自分の時間を決断できるから、子供たちに対してすごい結果的に、大人たちの主観的なうごきが子供たちを結果的に追い詰めてると。でも彼女ら彼ら親たちからすれば、そう動くしかないっていうようなところもあるんだけどね。だから身勝手だな、って子供の視点からすると大人たちを思うんだけど、まぁ大人たちになった側からしたら、大人っていうのはこういうふうに生きてしまうよなぁってところもあるっていうように僕は感じたんだよね。視点がどうしても大学生側、子供たちの視点なので、すごく理不尽な大人に対しての、どう人生を進んでいくかってところね。でもまぁ主人公もすごくやっぱどこかで身勝手な、主人公たちもだね、江永というもう一人の主人公が出会ってからの物語も続くんですけどね。まぁ大きく3つのシークエンスというか章に分かれてるんですけど。本当にみんなちょっと身勝手だなと思うところもあって。でもそういうところが決して嘘じゃない感じがね、苦しいなと思いながらも、”愛されなくても別に”という文章は一緒でもどういう、最初に感じた”愛されなくても別に”というタイトルから感じ取るものがまったく異なる、読み終わったあと。というのはすごく気持ちがいいっていうとなんだけど、物語を読んだ後の爽快感というか、ひとつ物語を読み終わった感覚っていうものはとてもよかったなと思いますね。

それこそだから苦しんでる大学生とかいるんですよね、もちろん。苦しいときに何をするかっていうときに敢えて苦しいものを読んだりとか、悲しい曲を聴くことで浄化される作用ってあると思うんだけど、そういう効果がすごくあるんじゃないかなって思った

。この作品によって救われる人はたくさんいるなと思った。はい。

 

あ、全然話せなかったな。ちょっと来週も吉川英治の話だな。『モダンボーイズ』の話はもう少しあとか。

 

★リクエスト曲「夜よ踊れ」